ビリンバウの共鳴箱として最も有名なのは言うまでもなくカバッサですが、実はこれだけじゃないんですね。初心者の方は、気が付いていないだけで、しばしば使っていたりするのがコイテ【coite】です。カバッサとの最大の違いは、カバッサが蔓になるのに対し、コイテは木になるという点です。カバッサがスイカなら、コイテはさしづめリンゴですね。

ramironocoiteビリンバウに使えるように仕上げられたコイテたち。殻はカバッサより硬質で、割れやすいです。きれいに磨かれたものは、プラスチックと間違えるかもしれません。

左の写真は、パーカッショニスタのハミロ・ムソット【Ramiro Mussoto】の自宅でビリンバウ・オーケストラのリハーサルをしたときに撮影させてもらったものです。

彼は自分のビリンバウにはコイテしか使用しません。理由はお腹に付けたり離したりするときに得られる「ワウワウ効果」が、コイテのほうが格段に大きいからです。なぜなのか分かりませんが、私も試した結果、確かにそう感じました。余韻がずーっと伸びる感じです。

coitedentroコイテの中を見たところ。カバッサよりもつるりとしていますね。これでも特別な処理はしていません。

もっとも殻が硬質な分、カバッサよりも加工は厄介です。カバッサならよく研いだナイフで切ることもできますが、コイテはのこぎりでないとまず無理です。

底に見えるのは、紐が殻に食い込むのを防ぐための皮片です。カバッサにもこれをするといいですよ。

 

coitevarios加工する前の生のコイテ。大小、大きさもさまざまです。きれいなタマゴ形をしていて、カバッサのような「くびれ」はありません。

重さは非常に重いです。小さいものでもずっしり感がありました。

 

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コイテの熟れ具合を知りましょう。

左の緑のものはまだ若い状態。本当はこの段階で採るのはよくないらしいです。右に行くにしたがって熟れています。上の写真にもあるように、最終的には皮が硬くなって、色も真っ黒になります。

 

 

coiteコイテの拡大図。きれいですね。

でもこれが臭うんです!

 

 

 

 

 

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中を切ってみると、若いときはヘチマやヒョウタンと似ていますね。中のタネは、セメダインのようなツンとした臭いがします。窓を締め切って作業をしていると、本当にシンナー中毒になるような気がしました。

写真にはないんですが、これが乾燥すると中もカリカリになって、簡単にかき出せるようになります。

 

cabacasvariasこちらはおなじみのカバッサです。私たちが良く知っている日本のヒョウタンと違って、タマゴ型ですね。

写真にあるような赤みがかったものは、たいてい肉厚でビリンバウにはあまり適さないことが多いです。シェケレなどの楽器やその他の工芸品用に買われていきます。もちろん、中にはビリンバウ用に使えるものもありますから、スイカを選ぶように、ひとつずつからを指ではじいて選んでいきます。

コイテを共鳴箱としてビリンバウを作ろうとすると、なかなかぴったり来るヴェルガが見つからないな、というのが私の経験です。ペロウリーニョの楽器職人のジーニョさんによれば、「ビリーバとコイテの相性は良くない。コイテにはカンデイア(別の木の種類)しか合わないんだ」と言いますが、真偽のほどは分かりません。実際、ハミロはビリーバを使って、オーケストラ用の素晴らしいビリンバウを作っていますし、探せば見つかるということでしょうね。